「影見」の能力を持つ少女。過去に経験した事故をきっかけに、他人の記憶や経験、さらには死者の姿など「ありえないもの」が見えるようになった。 この「見える」ことの恐怖から、他人との接触には消極的。現在は唯一の理解者である黒澤蜜花の下で、彼女の経営する店と「影見」の仕事を手伝っている。
「ありえないもの」が見えるようになった夕莉は、その後、普通の生活に戻ろうと努めたが、周囲や医師にその症状がショックによる一時的なものとして理解されず、次第に孤立していき失踪に至る。失踪の折に「神隠し」にあったとされ黒澤蜜花に影見の依頼が出さてれている。
崖から飛び降り自殺をしようとした所を黒澤蜜花に発見され、それ以来蜜花の所で居候し、彼女が店主を務める「骨董・喫茶くろさわ」の手伝いをしているが、「見えてしまう」恐怖から他人との接触を極端にさけ、店の手伝いも主に掃除や片付け、 暇な時の店番程度で、接客に出ることはあまりない。
性格は頼まれごとや困っている人を無視できない真面目な性格。趣味はサイクリング。理由は「一人であることが自然に思えてくる」から。
夕莉は、いつのころからか泣けなくなった。自殺しようとした時も、蜜花さんが自殺を止めてくれた時も泣けなかった。蜜花さんは泣いていたのに。
取材で掴んだ情報や経験をベースにフィクションを構成するユニークな作風で知られる作家。日上山周辺に古くから伝わる風習「弔写真」を次回作の題材にする ため、旧知である黒澤蜜花に「影見」を依頼。その成果として受け取った一枚の「弔写真」に惹き寄せられるように、みずから日上山の調査へ乗り出す。
子供のころ、夏の間は陽炎山(かぎろいやま)の麓の親戚の家で過ごした。
蜜花とは、旧知で同じ歳だが幼なじみというわけではなく、資料を探している時に知り合い、以後、資料の骨董や古本の調達など、 調べごとを依頼している。
「幼い頃、祭りのさなかに少女を殺した」という記憶があり、「殺す間際に少女に見られた」という夢に苛まれている。そのため女性が苦手で、見つめられると少し挙動不審になる。
一人暮らしが長いとは思えないほど家事ができない。料理もできないし、掃除も苦手。直観で行動する、大雑把な性格だが、気も腕っぷしも強い方ではない。
失踪した母親を探す少女。母に似た女性を見たという噂を頼りに日上山へ入り、神隠しに遭う。幼いころから霊感が強く、霊の存在はもちろん、触れた人の心まで 見えてしまうため、周囲の人々から忌避され、強い孤独感と共に育った。現在は若手女優の有望株として、ドラマ出演やグラビアなどの芸能活動に従事している。
母親は、3歳の頃に失踪し、それ以来、養母の井山サチの世話になる。深羽の失踪の折に、井山サチが蜜花に捜索の依頼をしている。
触れると心が見えてしまうため、他人に対して極度に冷たく振る舞う。
また、心が読めるために人を見下してしまう傾向がある。
他人に極度に冷たく当たる一方自分のことを唯一理解してくれるであろう母の存在を強く求めている。
深羽は、笑うことが苦手である。
不来方夕莉が暮らす「骨董・喫茶くろさわ」の女店主。とある人物から託された「射影機」を所有している。口伝や文献により「影見」の力も修得しており、 骨董屋を営む傍らで失せ物探しなどの仕事も引き受けている。
蜜花の持つ「射影機」は、亡くなった影見の人の家にあったものを、家族の了解を得て譲り受けたもの。
趣味で占いも行っており、その容貌と謎めいた雰囲気で、店に来る女学生の間に名が知られている。
蜜花は、夕莉の苦しみや孤独を理解しているが、自らに「触れた人の記憶や秘密を見る」ほどの力はなく、霊の存在や他人の心は「感じる」程度。
蜜花自身も、過去のある出来事がきっかけで心に傷を負い、それ以後、失踪者の捜索依頼は断っていた。
しかし、日上山の異変で失踪者が増え、自身の周囲にも失踪者が現れたことなどから捜索を再開する。
放生蓮の作家活動をサポートする助手。雑誌者の紹介で雇われ、放生家の居候になる。得意とする資料の作成、整理を任されていたが、いつのまにか家事 全般も受け持つようになり、蓮にとって家族も同然の存在になっている。
蓮曰く「いつのまにか家にいた」という。
蓮のことを「先生」と呼び慕っているが、直観で動きがちな蓮をいさめたり、普段の生活での不精を叱ることもある。
蓮とは同郷の富山県出身で、ローカルな話をするうちに打ち解け始めたという設定。名字の鏡宮も富山県射水市鏡宮(かがのみや)から。
ミステリアスな雰囲気の累だが、一番謎なのが累の性別である。累自身、どちらでもない、今のままで良いと思っていたが、日上山の出来事に巻き込まれていくうちに 気持ちに変化が現れる。
日上山の形代神社に現れる白髪の少女。元々は別の山の幼巫女だったが「強い柱」を求める日上山に「箱入り様」として送られた。見るだけで人の心を読む 「看取り」の力を持つ。
日上山信仰と繋がりのある山、陽炎山(かぎろいやま)の幼巫女だった白菊は、幼いころから人を見るだけで考えを読む看取りの力を持っていたが、体が弱く、長くは生きられないといわれていた。
白菊は一度危篤状態になり、その後回復する。日上山では「一度死んだ者」はもう死ぬことはない強い「柱」となるとされていたため、柩籠にいれられ日上山に送られることになる。
深羽と同様人の心が見えすぎるため、外見よりも大人びた振る舞いをする。
強い力を持つ日上山の巫女。山の封印を守る「本柱」として選ばれるも儀式は失敗し、今も一人夜泉を落ち続ける。引き受けたすべての死の苦しみと 孤独が果てることはない。
蓮が蜜花に依頼して見つけた写真帖に挟まっていた白無垢を着た花嫁姿の写真の女性。
逢世は、大水で生き残ってしまったことがきっかけで、人に見えないものが見えるようになり巫女になった。
雛咲深羽の母親。唯一の肉親である兄・真冬を失って以後、兄の知人宅に身を寄せ写真家の助手をしていたが、妊娠を機に離職。一人で深羽を生んだ。
シリーズ3度目の登場。昔から霊感が強く、「ありえないもの」を見続けてきた女性。
氷室邸で起きた作家の失踪事件で、ただ一人の肉親であった兄、雛咲真冬を失い(零~zero~)、その後は兄の知人である、黒澤優雨宅に身を寄せ、写真家助手となっていた。(刺青の聲)
深羽が三歳の時に失踪。知人の井山サチが蜜花に深紅の捜索依頼をしている。
黒澤蜜花に失踪した友人の「影見」を依頼していた少女。蜜花の不在を聞かされ、待ちきれなくなった彼女は、一人で日上山へと向かう。
「骨董・喫茶くろさわ」に、蜜花の占いを目当てに通っていた女学生の一人。最近は店に来ていないため夕莉とは面識がない。
過去に蜜花に春河との大切な写真を見つけてもらったことがあり、春河が失踪した今回も蜜花を頼って「骨董・喫茶くろさわ」を訪れた。
氷見野冬陽と同じ学校に通う女学生。蜜花の占い目当てで「骨董・喫茶くろさわ」にもよく訪れていたがある日を境に行方不明に
冬陽と同じ学校の女学生で、同じく蜜花の占い目当てに通っていた中の一人、集団自殺があった時期を境に訪れなくなる。夕莉と面識はない。
気が弱く優しい性格で、人の意見に流されやすいところがある。蜜花の占いについても「みんなが来ているから」という理由で来ていた。
かつて、春河、夏穂(なつほ)、千秋、冬陽、露乃(つゆの)の5人で集団自殺を図ったことがあり、春河と冬陽だけが生き残った。
霧幻天神流「覇神門」の使い手。一門の中でも屈指の実力者で「天下くノ一」とも呼ばれる。行方知らずとなった片品紡を追っている。
呪われた出生ゆえ闇に生きることを定められた。
異父姉妹の姉かすみがいるが、自分とは逆に恵まれて育ったかすみに対し、殺意さえ抱いていた。
失踪前の片品紡とふとしたことで出会い、縁を感じたあやねは紫糸(ユカリイト)を結ぶ。
不幸な家庭環境に育ち、自殺未遂を繰り返しているうち、日上山に誘われる。蜜花のもとに「影見」依頼が寄せられるも未だその消息は不明。
日上山で行方不明になったと思われる少女の一人。大切に育てられた異父姉妹の姉とは対照的に、家族から疎外され、コンプレックスを感じ続けて育った。
家庭での人間関係から失語症になり、何度かの自殺未遂の後、姿を消した。
蜜花の知人である医師から捜索を依頼されたが、家族によって取り消されている。